あの時の二人
二年前の夏にアップした<二人のゆくえ>を読み返して思わず吹きだしてしまった。金沢時代の耳鼻科での 「ガッコー事件」 は今思い出しても可笑しくて、笑い上戸の私は二年後の今でもやっぱり笑えた。
その時に書いたコック志望の次男は念願のコックとなった。とは言っても雇われコック、本来なら十代後半くらいから厳しい修業を経てコックや板前になり、開業する・・・そんな道筋があるのかもしれないが、大学中退で暗中模索しながらその道に入っていった彼には、私の想像をこえる厳しい壁があったと思う。
先日、三男がめずらしく家に帰ってきた。
翌日の午前中は空いているというので、恵比寿のガーデンシネマ・プレイスに映画を見に行こうとなった。
ついでに渋谷の道玄坂でランチをしようよ、Hiroのスペイン料理店!
次男が二件目に勤めるレストランである。
朝寝坊で映画をあきらめた三男と、表参道から "ぶらり原宿"で渋谷駅まで歩いた。駅が近くなって、三男が携帯ナビで地図とあたりの建物を照らし合わせる。道玄坂の路地は食べ物屋がひしめいていた。シェフと行ったベトナム料理屋さんもこの辺りなのかな、外国料理のお店が多いね、はてさて彼のお店はどこだろう。などとウロウロしているすぐ後の方にスペイン国旗が目に入った。
「なーんだ、ここだった?!」
一安心の私のむこうで弟(三男)が兄に話しかけていた。「お、ここなんだ。」 「あ、来たんだ。」
ネットでみた店内の雰囲気とはいささか趣きが違うと思えた。
1階のバーの入り口近くの厨房で夜の仕込みをしていた彼が、店の人に私たちを紹介する。型どおりの挨拶を済ませて、最安値のランチを注文する。
店内は昼食時をすこし過ぎた時間帯のせいか、一組の客がいるだけだった。それが却って良かったのかもしれない、床や天井、壁、飾り気のない素朴なテーブルなどが洒落た垢抜けた雰囲気を出していた。壁掛けの大型テレビはフラメンコダンスを映し出し、時々フラメンコギターが鳴っていた。
( あ、私こんな雰囲気って好きかも・・・気持が落ちつくなあ。)
仕込みの手を休めた彼が私たちの席にやってきて 「なにか一杯ずつおごるよ!」 「じゃ 僕ビール!」
あのときの二人は、お互いの近況を短い時間で交しあい、私は私で 「ここに来てみたい友達、たくさんいるので今日は下見に来たんだ~」 などと言って、久しぶりの再会に照れていた。
小さい頃は喧嘩三昧の二人だったのに、二十年も経つとそれぞれがソレなりに(笑)大人になって、こんなに少ない言葉でも通じ合う気持がもてるのね、としみじみ思えたのだった。
携帯のカメラモードがちょっとへん。ま、これなら載せてもいっか。
by hanako_mama
| 2009-09-04 11:42
| 家族・健康