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「笑う能力」を思い出す


笑う能力   * ~茨木のり子 『倚りかからず』


「先生 お元気ですか
我が家の姉もそろそろ色づいてまいりました」
他家の姉が色づいたとて知ったことか
手紙を受けとった教授は
柿の書き間違いと気づくまで何秒ぐらいかかったか


「次の会にはぜひお越し下さい
枯木も山の賑わいですから」
おっとっと それは老人の謙遜語で
若者が年上のひとを誘う言葉ではない


着飾った夫人たちの集うレストランの一角
ウェーターがうやうやしくデザートの説明
「洋梨のババロワでございます」
「なに 洋梨のババア?」


若い娘がだるそうに喋っていた
あたしねぇ  ポエムをひとつ作って
彼に贈ったの 虫っていう題
「あたし 蚤かダニになりたいの
そうすれば二十四時間あなたにくっついていられる」
はちゃめちゃな幅の広さよ ポエムとは


言葉の脱臼  骨折  捻挫のさま
いとをかしくて
深夜 ひとり声たてて笑えば
われながら鬼気迫るものあり
ひやりともするのだが そんな時
もう一人の私が耳もとで囁く
「よろしい
お前にはまだ笑う能力が残っている
乏しい能力のひとつとして
いまわのきわまで保つように」
はイ 出来ますれば


山笑う
という日本語もいい
春の微笑を通りすぎ
山よ 新緑どよもして
大いに笑え!


気がつけば  いつのまにか
我が膝までが笑うようになっていた 




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昨日、金沢に住む友人からメールをもらった。
師走に入ると毎年、歳暮の交換のようなやり取りを続けてきた。
安否の確認の一言のあと、今年は富山のお酒を送ったからね、とあった。

数年前、彼女が入院したさい、茨木のり子詩集を郵送で貸出しし、戻ってきた本に「笑う能力」が良かったわねと記した手紙が挟んであった。
そうそう柿の葉はもう枯葉になってしまったけれど、秋になって柿が色づく度に彼女を思い出し、この詩を思い出していたのだ。

停まった足が意外に早く、前に向きました。れっきとした未熟者なんでしょうね(笑)。
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Commented by Sharon at 2010-12-19 11:22 x
花子ままさんのユーモアなセンスに脱帽ですね。其れこそ笑い能力ですo(^▽^)o因みに脱帽を書いて脱毛が先にでました
Commented by hanako_mama at 2010-12-19 21:40
>sharonさん、こんばんは。
茨木さんってなかなか辛辣なユーモアセンスありますよねえ ^^
そこんとこに惚れちゃうんですよねえ ^^
tuo1 mao2 ,,, tuo1mao4 なるほど確かに!
シャッポ脱ぎました(笑)
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by hanako_mama | 2010-12-18 15:03 | 私の好きなもの | Trackback | Comments(2)

大きい声では言えないが, 小さな声では聞こえない


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