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ゴールデンなスタート

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たった今、上野から戻ってパソコンに向かっています。
(この写真から湯気が立ちのぼっているでしょ?^^)

舘野泉という人のピアノを聴きに行って来たんです。息子と二人。
ちょっと興奮気味な気持ちを静めるべく、一駅まえで電車を降りて歩いて帰ってきました。

舘野泉さん。ご存知の方もいらっしゃると思う。左手のみでピアノを弾く人です。
私は、ナマの演奏を聴くのは今日が初めてだった。五年前に脳溢血で倒れて右半身不随となり、二年半という時を乗り越えてカムバックされた。
昨年、テレビで「奇跡のピアニスト」というドキュメンタリーを観て以来、「演奏会があるなら今度こそ生演奏を聴きたい!」と、機会を待ち続けた。

今日の演奏は、私や息子の期待を決して裏切らないものだった。
多少の不安がなかった、といえば嘘になる。左手だけで右手のフレーズをカバーできるの?という・・・。しかし、そんな不安は一曲目のはじめの一音で吹き消されてしまった。
<舘野泉に捧ぐ>という彼の友人により作曲されたもの、バッハの曲をブラームスが編曲したシャコンヌ、ロシアのスクリャービンの書いた左手のための小品。

「母さん、すごい音色だね。あの音はどうやって鳴らしてるんだろう?」 と息子。
「右手は使っていないけど、ペダルは右足だよ・・。右半身が利かないのに・・相当な練習があったね。」 と私。

深い湖の底に流れるかのような くぐもった低音。
グラスをそっと合わせたときに 微かに聞ける響き。
ビロードのような肌触りをイメージさせる音の連なり。
すべてが、彼の左手一本から紡ぎだされる。

彼を六十代半ばで襲った突然の病。そこで味わったであろう想像を絶する苦悩。
やはり音楽を生涯のものとする・・・ そう誓った地点から自分との闘いを始めたんだな・・。
彼の左手が訴えるピアノへの愛着、人への信頼・・・・。最後に舘野さんが弾いた「舞曲集」のなかの ブルース、ブギウギ。それは彼の生き様を凝縮しているかの様だった。そこに、音楽に命を懸けた人の真摯な姿を、私はみた。
そして、その全てを感じながら、私の頬はぬれていた。

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  ♪ 愛すもの片手なれども弾くピアノ by naochans_organic


この上の写真は、舘野さんが弾き終えたピアノをカシャっとしたもの。
さあ、明日は仕事先の「棚卸」です。お店の商品すべてを数え上げ、それをパソコンに打ち込む仕事が連休明けに待ち構えている。年を経るごとにシンドクなるこの作業。なんとか自分にカツを入れたい!
舘野さんのピアノは、そんな私を励ます特効薬となりました。


追加: 舘野泉さんHPより
私を病の暗い深い溝から導いてくれたのは、音楽でした。何十年も前にその時誰かのために書かれた左手の音楽であったのです。音楽を愛する人には、いつの時代もどんなことがあっても、音楽を心の糧に活躍してほしいと願っています。

by hanako_mama | 2007-04-29 17:48 | 私の好きなもの


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